債務整理
債務整理のメリット・デメリット
任意整理
■メリット
任意整理のメリットは、まず取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算すること(引き直し計算)で借金が減額される点が挙げられます。また、原則としてこれまで未払の金利、将来の金利や遅延損害金は全額カットされます。
次に、財産の処分や特定の職業につけなくなること(資格制限)が一切ない点もメリットとして挙げられます。
また、任意整理は貸金業者と当事務所が直接交渉するものであり、自己破産や民事再生のように裁判所を通す手続ではないため、裁判所に提出する書類作成や、裁判所への出頭の必要もなく、官報に氏名が記載されることもありません。
さらに、任意整理は自己破産や民事再生とは異なり、例えば自動車のローンや保証人がついている借金は任意整理せずにこれまで通り支払い続け、その他の借金のみを任意整理するというように柔軟に債務整理をすることが可能な点もメリットとして挙げられます。
■デメリット
任意整理は、借金の全額または一部の免除を受ける自己破産や民事再生と異なり、原則として借金の元本全額を支払う手続であるため、これらの手続に比べ返済額が多くなることが一般的です。但し、任意整理でも引き直し計算や金利等のカットにより原則として返済額が減額されます。
また、任意整理をすると信用情報機関に任意整理をした事実が登録されてしまいますので、5年間程度は新たに借金をすること、また、クレジットカードやローンを利用することが制限されます。
自己破産
■メリット
自己破産をして借金を支払う義務がなくなれば、あなたの生活が以下のように変化します。(当事務所依頼者アンケートより)
- 毎月の収入をすべて自分のために使うことができます。
- 貸金業者から自宅や会社に連絡がくることがなくなります。
- 毎月借金の返済で悩むことがなくなります。
- 生活への不安や毎月支払いに行くことの不安がなくなります。
- 毎月借金の返済に充てていた労力・時間を有効に活用することができます。
- ぎりぎりに切り詰めていた生活に余裕を持てるようになります。
- 仕事に身が入るようになります。
- 精神的な安堵感、ゆとりができます。
- 収入内で生活し、貯金も毎月少しずつできるようになります。
- 家庭内で、子供に気持ちをぶつけてしまうなど、イライラピリピリすることがなくなります。
- 仕事や家庭のことに集中できるようになります。
- 夜、ぐっすりと眠れるようになります。
- お金の管理(目的別に1ヶ月使う金額)が明確になります。
- 家族で借金返済の話題がなくなります。
- お金のことでけんかすることがなくなります。
- 給料をもらって手元に自由に使えるお金が残ります。
- 将来のことが前向きに考えられるようになります。
■デメリット
自己破産には、以下のようなデメリットも存在します。
まず、現在価格が20万円を超える財産(ただし、現金の場合には99万円を超える金額)は原則としてすべて処分されてしまいます。ただし、20万円を超える財産であっても、生活に必要な財産については一定の場合、維持することが可能です。また、生活に不可欠な財産(家具等)は原則として処分されません。
次に、自己破産の手続の期間中(3~6ヶ月間)は、保険募集人や警備員等特定の資格を必要とする職業に就くことが制限されます(これを「資格制限」といいます)。
(資格が制限される職業)
弁護士、税理士等の士業、宅地建物取引主任者、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、警備員等
※会社の取締役、医師、薬剤師、看護師、教員、一般の公務員、などは自己破産をしても制限を受けません。
また、自己破産をすると信用情報機関に自己破産をした事実が登録されてしまいますので、5~7年程度は新たな借金やローンを利用することが制限されます。
なお、戸籍や住民票に自己破産をした事実が記載されることはありませんし、選挙権がなくなることもありません。また、自己破産手続が終了した後には就職が制限されることもありません(ただし、自己破産の手続期間中は、円滑な手続進行等のため、海外渡航が制限されることがあります)。
個人再生
■メリット
民事再生のメリットは、自己破産の場合に処分されてしまう住宅等の高価な財産を維持しながら、借金の整理をすることができる点です。自己破産のように借金の返済義務がなくなるわけではありませんが、住宅ローン以外の借金を大幅に減額することができます(住宅ローンは一切減額されません。ただし、住宅ローンの返済期間を延長して、月々の住宅ローン返済額を減らすことができる場合があります)。
また、自己破産のように財産の処分や一定の職業に就けなくなること(資格制限)が一切ない点もメリットとして挙げられます。
■デメリット
民事再生のデメリットは、借金が減額されても返済義務がすべてなくなるわけではないという点です。そのため、住宅ローンについては全額、その他の借金については減額された借金を原則として3年間で返済していかなければなりません。
また、民事再生をすると信用情報機関に民事再生をしたことが登録されてしまいますので、5~10年間程度は新たに借金をすることやローンを利用することが制限されてしまいます。