債務整理
債務整理とは
債務整理とは、借金の返済が困難な方や高金利の消費者金融等で借り入れている方が、弁護士に依頼して、借金を整理することです。
債務整理をすることで、借金を減らし(任意整理)、払いすぎた利息(過払い金)を取り戻すことができます。また、返済の見込みがない場合に、借金をゼロにして再スタートをする方法(自己破産)やマイホームを手放さず借金を減額する方法(個人再生)もあります。
任意整理
任意整理とは、消費者金融等の高金利の借金を利息制限法の上限金利(15~20%)で再計算(引直し計算)することによって減額し、債権者との間で原則として減額した借金元本を3~4年の分割払いで返済する内容の和解をすることです。 また、引直し計算の結果、過払い金が発生した場合は、交渉や訴訟によって直ちに取り戻します。
なお、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃されました。これにより、上限金利は利息制限法で定められた水準(貸付け額に応じて15~20%)となっています。
自己破産
自己破産とは、借金(債務)の返済が不可能な状態になった場合に裁判所に破産手続開始を申立て、破産管財人が貴方の財産を全て処分してお金に換えて(換価手続)、集まったお金を全債権者に配当し(配当手続)、財産と負債を清算する制度です。
貴方の財産が一定基準未満で破産手続費用にすらならない場合、破産手続きは開始決定と同時に廃止され、終了します。この場合、破産管財人による換価手続や配当手続はありません(同時廃止事件)。
そして、破産手続終了(廃止)後、裁判所から免責許可決定を受けることにより、借金(債務)の支払義務が免除されます。 ただし、免責許可決定を受けられない場合(免責不許可事由)や免除されない債務(非免責債権)があります。
個人再生
個人再生とは、借金の返済が不可能となるおそれのある場合に、裁判所に個人再生手続きを申し立て、下表の最低弁済額以上かつ清算価値(財産の評価額)以上である計画弁済総額を原則として3年間で分割返済する再生計画を裁判所に認可してもらい、残りの借金の支払義務の免除を得る制度です。 マイホームを残す方法もあり(住宅資金特別条項)、定期的かつ安定した収入が将来的に見込める方のみ利用することができます。
借金の総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 借金の総額 |
100万円以上500万円未満 | 100万円 |
500万円以上1500万円未満 | 基準債権総額の5分の1 |
1500万円以上3000万円未満 | 300万円 |
3000万円以上5000万円未満 | 基準債権総額の10分の1 |
例えば、400万円の債務があり、120万円の資産(清算価値)を保有している方は、120万円につき3年間で分割弁済する再生計画を認可して貰い、残りの280万円を免除して貰うことになります。住宅資金特別条項を利用すれば、住宅ローンだけは従前どおり返済して、住宅を残すこともできます。なお、清算価値と資産総額は厳密には同じではありません。裁判所によっても運用が異なりますので、詳しくは弁護士にご相談下さい。
過払い金返還請求
過払い金とは、消費者金融(サラ金)等の金利が利息制限法の上限利率を越える利率を設定している為、利息制限法の金利であれば完済しているのに、約定利率の返済を続けた為に消費者金融等に「払い過ぎたお金」のことです。
債務者の方が直接過払い金返還請求をしても、消費者金融の担当者は専門的な法律用語等を用いて殆ど応じないため、難航することが多いと思われます。 過払い金返還請求をお考えの方は、まずは当事務所にご相談下さい。
なお、平成22年6月18日以降、出資法の上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃されました。これにより、上限金利は利息制限法で定められた水準(貸付け額に応じて15~20%)となっています。
債務整理のメリット・デメリット
任意整理
■メリット
任意整理のメリットは、まず取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算すること(引き直し計算)で借金が減額される点が挙げられます。また、原則としてこれまで未払の金利、将来の金利や遅延損害金は全額カットされます。
次に、財産の処分や特定の職業につけなくなること(資格制限)が一切ない点もメリットとして挙げられます。
また、任意整理は貸金業者と当事務所が直接交渉するものであり、自己破産や民事再生のように裁判所を通す手続ではないため、裁判所に提出する書類作成や、裁判所への出頭の必要もなく、官報に氏名が記載されることもありません。
さらに、任意整理は自己破産や民事再生とは異なり、例えば自動車のローンや保証人がついている借金は任意整理せずにこれまで通り支払い続け、その他の借金のみを任意整理するというように柔軟に債務整理をすることが可能な点もメリットとして挙げられます。
■デメリット
任意整理は、借金の全額または一部の免除を受ける自己破産や民事再生と異なり、原則として借金の元本全額を支払う手続であるため、これらの手続に比べ返済額が多くなることが一般的です。但し、任意整理でも引き直し計算や金利等のカットにより原則として返済額が減額されます。
また、任意整理をすると信用情報機関に任意整理をした事実が登録されてしまいますので、5年間程度は新たに借金をすること、また、クレジットカードやローンを利用することが制限されます。
自己破産
■メリット
自己破産をして借金を支払う義務がなくなれば、あなたの生活が以下のように変化します。(当事務所依頼者アンケートより)
- 毎月の収入をすべて自分のために使うことができます。
- 貸金業者から自宅や会社に連絡がくることがなくなります。
- 毎月借金の返済で悩むことがなくなります。
- 生活への不安や毎月支払いに行くことの不安がなくなります。
- 毎月借金の返済に充てていた労力・時間を有効に活用することができます。
- ぎりぎりに切り詰めていた生活に余裕を持てるようになります。
- 仕事に身が入るようになります。
- 精神的な安堵感、ゆとりができます。
- 収入内で生活し、貯金も毎月少しずつできるようになります。
- 家庭内で、子供に気持ちをぶつけてしまうなど、イライラピリピリすることがなくなります。
- 仕事や家庭のことに集中できるようになります。
- 夜、ぐっすりと眠れるようになります。
- お金の管理(目的別に1ヶ月使う金額)が明確になります。
- 家族で借金返済の話題がなくなります。
- お金のことでけんかすることがなくなります。
- 給料をもらって手元に自由に使えるお金が残ります。
- 将来のことが前向きに考えられるようになります。
■デメリット
自己破産には、以下のようなデメリットも存在します。
まず、現在価格が20万円を超える財産(ただし、現金の場合には99万円を超える金額)は原則としてすべて処分されてしまいます。ただし、20万円を超える財産であっても、生活に必要な財産については一定の場合、維持することが可能です。また、生活に不可欠な財産(家具等)は原則として処分されません。
次に、自己破産の手続の期間中(3~6ヶ月間)は、保険募集人や警備員等特定の資格を必要とする職業に就くことが制限されます(これを「資格制限」といいます)。
(資格が制限される職業)
弁護士、税理士等の士業、宅地建物取引主任者、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、警備員等
※会社の取締役、医師、薬剤師、看護師、教員、一般の公務員、などは自己破産をしても制限を受けません。
また、自己破産をすると信用情報機関に自己破産をした事実が登録されてしまいますので、5~7年程度は新たな借金やローンを利用することが制限されます。
なお、戸籍や住民票に自己破産をした事実が記載されることはありませんし、選挙権がなくなることもありません。また、自己破産手続が終了した後には就職が制限されることもありません(ただし、自己破産の手続期間中は、円滑な手続進行等のため、海外渡航が制限されることがあります)。
個人再生
■メリット
民事再生のメリットは、自己破産の場合に処分されてしまう住宅等の高価な財産を維持しながら、借金の整理をすることができる点です。自己破産のように借金の返済義務がなくなるわけではありませんが、住宅ローン以外の借金を大幅に減額することができます(住宅ローンは一切減額されません。ただし、住宅ローンの返済期間を延長して、月々の住宅ローン返済額を減らすことができる場合があります)。
また、自己破産のように財産の処分や一定の職業に就けなくなること(資格制限)が一切ない点もメリットとして挙げられます。
■デメリット
民事再生のデメリットは、借金が減額されても返済義務がすべてなくなるわけではないという点です。そのため、住宅ローンについては全額、その他の借金については減額された借金を原則として3年間で返済していかなければなりません。
また、民事再生をすると信用情報機関に民事再生をしたことが登録されてしまいますので、5~10年間程度は新たに借金をすることやローンを利用することが制限されてしまいます。
債務整理の弁護士費用について
1.相談
(1) 初回 | 初回30分に限り無料 |
---|---|
(2) 初回30分を超える場合又は2回目以降 | 30分当たり5,000円 |
(3) 相談料には、別途消費税を付加する。 |
2.任意整理
(1) 着手金
- 受任時を基準として、債権者1名(1交渉窓口)当たり2万円。ただし、5万円を最低限とする。
- 過払金返還請求案件において、訴訟を提起することになった場合、1件当たり20万円を加算する。
(2) 報酬金
a.~c.の合計額とする。
- 業者の請求額を減額させた額の10%
- 業者との間で2年以上の長期分割弁済合意が成立した場合、分割元本額の5%
- 業者から過払金返還を受けた場合、返還を受けた過払金の20%
(3) 着手金、報酬金には、別途消費税を付加する。
(4) 諸費用は、依頼者の負担とする。
3.自己破産・免責申立て
(1) 被事業者の自己破産・免責申立て
- 着手金 35万円
- 着手金には、消費税及び諸経費を含むものとする。
- 管財人が選任された場合の予納金は、依頼者の負担とする。
- 免責に異議が出た場合、裁判所から一部弁済を指示された場合、管財人等から訴訟を提起された場合等複雑な事案について、免責決定が確定したときは、着手金同額と限度として報酬金を請求することがある。
(2) 事業者の自己破産・免責申立て
- 着手金 50万円以上
- 着手金には、別途消費税を付加する。
- 諸経費は、依頼者の負担とする。
- 免責に異議が出た場合、裁判所から一部弁済を指示された場合、管財人等から訴訟を提起された場合等複雑な事案について、免責決定が確定したときは、着手金同額と限度として報酬金を請求することがある。
(3) 法人の自己破産申立て
- 着手金 100万円以上
- 着手金には、別途消費税を付加する。
- 諸経費は、依頼者の負担とする。
- その他詳細は、受任時に協議して定める。
4.民事再生申立て
(1) 個人再生申立て
- 着手金 40万円。住宅資金特別条項を適用する案件は45万円。
- 着手金には、消費税及び諸経費を含むものとする。
- 個人再生委員等が選任された場合の予納金は、依頼者の負担とする。
(2) 一般の民事再生申立て
受任時に協議して定める。